役割を決めれば「偉い」人はいらない論

私は「社長」と呼ばれることがあまり好きではない。
嫌悪感を抱くほどのことでもないが、思想と合わないのである。
名刺も「社長」ではなく「CEO」を名乗っている。

私のイメージだが「社長」は指揮系統ピラミッドの頂点に君臨し、最上級の権力を保持している存在である。
そのイメージが故に「社長 = 偉い」の図式が成り立つ。
「偉い」とはとても曖昧な尺度であり、具体的な範囲や責務が明確でない。

会社運営においてこの曖昧な尺度はしばしば混乱を招く。
その最たる現象が「丸投げ」と「鶴の一声」である。

例えば、Webサービスの開発に関する検討を行っており、2つの案のどちらかを選びたい場合は
企業のイメージに関わることであればブランディング担当
ユーザーの使い勝手に関わることであればUI/UX担当
開発の実装方法に関わることであればプログラム担当
そして、その担当がそれぞれの専門性に基づいた根拠やABテストなどの定量的なデータを用いて判断するべきである。

「偉い」人は上記の考え方により現場に判断を一任する。
しかし、現場は求められている役割がわからず、抽象度の低い業務に留まり、業務の進行が頓挫する。
上は何も決めてくれない、丸投げされた、と感じるのである。

かと思えば、突如「偉い」人が現れては鶴の一声によって決定事項は覆され、現場は混乱の渦に巻き込まれ、最終的に時代遅れな産物ができたりする。
現場も「偉い」人が決めたことだから、と思考停止し、「偉い」人に聞いてみないとわからない、と意思決定スピードの低下につながる。
プロダクト作りにおいては鶴の一声が良い方向に倒れたりすることもあるため一概に悪いとは言えないが、組織作りの視点で考えた場合は悪影響の方が大きい。

アンドゲートでは「CEO(最高経営責任者)」「COO(最高執行責任者)」「CTO(最高技術責任者)」の3つをそれぞれの役員に割り当てている。
「経営」「執行」「技術」に対しての「責任者」と、範囲と責務を明確にすることでシンプルに役割分担を行っている。

企業活動において「経営」に結びつかない活動は存在しない。
そういった意味だと「経営」の「責任者」である私が最終的には全ての責任を負う。

概念の抽象度は「経営」が最上位にあり、その下に「執行」や「技術」がある。
組織の拡大と共に役割を細分化し割り当てることで、より意思決定のスピードを上げることができる。
今後必要に応じてCxOのポジションは社員(執行役員)に割り当てる予定である。

また「責任を負うこと」と「物事を決めること」は別として考えている。

「自分で決めたことは自分で責任を負う」
そういう人でありたいし、そういう仲間と一緒に仕事をしたい。
だが、あくまでも責任を負うのは責任者である。
責任を負えない・負いたくないが為に物事を決められないのであれば、責任は責任者が負うから自ら物事を決めて欲しい。
決めないこと・決められないことが一番の脅威なのだ。

その思想からしても「責任者」という言葉はピッタリ当てはまる。

役割の話しは何もCxOだけが対象ではない。
社員全員に対して役割を用意し範囲と責務を明確にしている。

アンドゲートでは「カタリスト」と「ディレクター」の大きく分けて2つの職務を用意している。
外資系企業のJob Description(職務記述書)にあたる。

詳細は割愛するが範囲と責務は下記の通りである。
カタリストの範囲は「考えて示す」、責務は「正し”い”物事を作る」
ディレクターの範囲は「実現する」、責務は「正し”く”物事を作る」

そして、この役割は相互に補完し合うよう設計している。
カタリストがいくら素晴らしいロードマップを描いても、実現できなければ絵に描いた餅だし
ディレクターがいくら素晴らしい資料を作成しても、妥当性のない内容であればただの紙クズである。

生物にもオスとメスがあるように、単体の役割だけでは不完全な方がシステム全体として見た場合は健全な場合がある。
専門性を細分化することでより深い専門性を追求することができ、お互いが範囲と責務を全うし協力し合うことで、全体としてより良い価値を創造できる。

「社長」という言葉に対する違和感は役割の曖昧さの他、不完全さのない独立した役割だからかも知れない。

カテゴリー: Poem

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