「エンジニアになりたい」と言っている時点でエンジニアには向いていない論

「エンジニアになりたいんですけど、どうしたら良いですか?」
こんな相談を受けたとき、皆さんはどのように答えているだろうか。
私がこの相談を受ける場合の「エンジニア」は「ITエンジニア」を指している。

特定のプログラミング言語を勧めて宗教論争に巻き込んだり、
「技術は手段であり問題解決することが目的」と高尚な教えを説いたりと
様々なパターンで回答してきたが、最近になってその回答は的を射ていなかったのではないかと思うようになった。

相談の要求を分析してみると、下記の通りとなる。
エンジニアになりたい = 手に職をつけたい = 一生食いっぱぐれない能力が欲しい

高度な専門性を得るためには「1万時間の法則」や「石の上にも三年」など3年は鍛錬が必要とされている。私自身、実感もある。
しかし、技術革新が激化する昨今では、3年を費やして得た専門性は一瞬にして有効性を失う。
現に私のインフラエンジニアとしての専門性の半分は既にAWSをはじめとするクラウドに淘汰されている。

有効性を失った専門性が全て無駄かと問われれば、そうではない。
1つの専門性を手にする過程で得た、抽象化・構造化する考え方や方法は何事にも転用できる強い武器となっている。
例えば、新しい技術に関しても概念を理解するのはそう難しくない。皆さんも同じような体験があるはずだ。

ただ、いまITエンジニアではなく、ITエンジニアの仕事自体に興味もなく、一生食いっぱぐれない能力を求めている相談者に対して
ITエンジニアは手放しでお勧めできる職業ではない。
(そもそもエンジニアになりたい人は勝手になっている。)

一生食いっぱぐれない能力は存在しない。
あるとすれば常に時代に食いつく根性だ!
そう回答したくもなるが、相談者の求める回答になっていない。

抽象度を上げよう。

「エンジニア」を「技術を用いた職業」から「問題を解決する特性」とした場合、また異なる見方ができる。
私はエンジニアの対比としてデザイナーを挙げており「問題提起をするのがデザイナー」「問題解決をするのがエンジニア」と定義している。
デザイナー属性とエンジニア属性は誰しもが持っている属性であり、この比重によって様々な適性に影響があると考えている。

社会的な要求から考えた場合「広義のソリューション(問題解決)」の中に「狭義のソリューション(問題解決)」と「クリエイティブ (価値創造)」がある。
エンジニア属性が多い人は「狭義のソリューション」、デザイナー属性が多い人は「クリエイティブ」に向いている。
具体化した2つはその上位の要求である「広義のソリューション」に紐付かなければ真の問題解決にはならない。

狭義のソリューションのプロジェクトにも、ビジネスモデルの構築やストーリー構想などデザイナー属性が必要である。
だが、ビジョンを描き、AsIsとToBeを設定し、実現までのストーリーを伝える専門性はまだ確立されておらず、人材も少ない。
今後は問題を解決するエンジニア属性よりも問題を見つけられるデザイナー属性が重宝される時代となり、その価値を組織的に提供することが重要だと考えている。

その考え方・方法・手法・ロジックを「方法論」と呼んでいる。
もしかすると、この「方法論」が「一生食いっぱぐれない能力」につながるのではないだろうか。

相談を思い出してみよう。

「エンジニアになりたいんですけど、どうしたら良いですか?」
これは「自分はエンジニアになりたい」とビジョンを描いた上での問題提起である。

「良い問題提起だね。もしかするとエンジニアよりもデザイナーの方が向いているかも知れない。デザイナーと言ってもアートやグラフィックのデザイナーではなくて、事象を抽象化・構造化して、問題点を見つけ出して、ビジョンを描いて、実現するまでの道筋を示すポジションで、そのポジションをいま作ってるんだ。」
「その特性を活かせば、エンジニアよりもプロジェクトマネジャー・ディレクターになった方が力を発揮できるかも知れないよ。」

www.andgate.co.jp

カテゴリー: Poem

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